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[通年]
写真というメディアが,20世紀の人間の認識に大きな影響を与えてきたことはいうまでもない.はじめ「見る」メディアであった写真は,徐々に「撮る」メディアとしても浸透してきた.このことを踏まえるなら,写真表現を作家や作品という視点からだけ「読む」のは不十分であろう.カメラの進化と普及は,人間の認識だけではなく,身体性をも変えてきたのではないだろうか.馬車に機材を積んでいた写真の初期から,片手に高性能デジタル一眼,片手にスマートフォンでinstagramを操っている21世紀の現在までを射程に入れつつ,写真とカメラの「活用」が織り成すトータルな変容を照らし出していく.